「通信制高校を卒業しても、まともな就職先は見つからないのでは…」「履歴書に『通信制』と書いたら、書類選考で落とされてしまうのではないか…」
子どもが通信制高校を選んだときから、「就職」という最終ゴールについて、大きな不安を抱えているのではないでしょうか。
インターネットで「通信制高校 就職 難しい」と検索すれば、ネガティブな情報ばかりが目に入り、余計に胸が締め付けられる思いをしている方もいるかも知れません。
ですが、安心してください!結論からいうと、通信制高校の卒業生だからといって、就職活動で決定的に不利になることはありません。
現代の企業が求めているのは、「どこの高校を出たか」という学歴よりも、「自律性」「問題解決能力」「意欲」といった、社会に出てから必要な個人の能力です。
通信制高校という環境で、不登校という困難を乗り越えて卒業した経験は、これらの能力を証明する強力な「強み」に変わります。
この記事では、通信制高校の卒業生が就職を成功させるための具体的な「逆転戦略」と、親御さんが今すぐできるサポートについて、解説していきます。
通信制高校だからという不安を自信に変えるための道筋を、一緒に確認していきましょう。
通信制高校の就職が難しいは誤解!戦略次第で有利になる

通信制高校からの就職が「難しい」というのは、情報不足による誤解です。
現代の採用現場では、学歴を重視する企業は減り、人物や意欲を重視する企業が増えています。
戦略を立てれば、全日制の生徒よりも有利に就職活動を進めることは十分に可能です。
文部科学省の統計が示す、就職率の「真実」
文部科学省の「学校基本調査」の統計データを見ると、通信制高校の卒業生が、全日制高校の卒業生と比べて就職において不利になっているわけではないことが明確にわかります。
| 課程 | 就職率(令和4年度) |
|---|---|
| 通信制高校 | 14.9% |
| 全日制高校 | 14.2% |
このデータを見ると、通信制高校の卒業生全体の就職率は、全日制高校の卒業生とほぼ同等、またはわずかに上回っています。
特に私立高校で見ると、全日制高校の卒業生就職率(約7.4%)に対し、私立通信制高校の就職率は約14.3%と、倍近い差があるというデータもあります。(ただし、これは通信制高校が就職を希望する生徒を多く受け入れているという背景も考慮が必要です)
結論として 「通信制高校だから就職できない」ことはないことが分かります。
就職を希望すれば、全日制高校と変わらないチャンスがあることが、国の統計からも裏付けられています。
大切なのは、在学中に何を学び、何を経験したかという「個人の実績」です。
ゆうき息子が通信制高校に在学中、保護者会で進路について説明を受ける機会がありました。
卒業後の進路が決まっていない生徒は毎年数名いましたが、ほぼ全員が進学や就職先が決まったと報告がありました。
企業が本当に重視するのは「学歴」ではなく「自律性」
企業が採用で本当に重視するのは、「与えられた環境で何を学んだか」ではなく、「自分で考え、行動し、結果を出す力(自律性)」です。
企業は、入社後に自ら課題を見つけて解決できる人材を求めています。
通信制高校で、誰かに言われるのではなく、自分の意思で学習計画を立て、レポートを提出し、卒業資格を勝ち取った経験は、この「自律性」の強力な証明になってくれます。
- 自己管理能力
- 評価ポイント: 自由な環境下で、生活リズムと学習時間を自分でコントロールした能力。これは社会人として最も必要なスキル。
- 困難克服の経験(レジリエンス)
- 評価ポイント: 一度不登校という挫折を経験しながら、逃げずに卒業資格を取得した「立ち直る力(レジリエンス)」は、困難な業務を乗り越える粘り強さにつながると見なされる。
- 時間の有効活用
- 評価ポイント: 全日制とは異なる自由な時間を使って、資格取得やアルバイト、趣味などに打ち込んだ経験は、「主体性」として評価される。
面接では、「不登校の理由」よりも、「通信制高校で何を乗り越え、何を学んだか」を伝えることができるといいですね。
通信制高校卒業後の就職で不利になりやすい3つのケース


通信制高校からの就職が、全日制と比べても決して不利ではないことをお伝えしましたが、何も対策をしないまま卒業すると、不利になってしまうケースがあるのも事実です。
わが子がそうならないために、注意すべき3つの点を確認しましょう。
1. 学習習慣が定着していない、または資格がない場合
企業は「高校の卒業証書」だけでなく、「基本的な読み書き、計算、パソコン操作ができるか」を見ることが多いです。
残念ながら、通信制高校は全日制高校と比較して、「勉強量が足りない」「学習習慣が身についていない」といった、実態と異なる良くないイメージが先行してしまうことが、まだ少なくありません。
そのため、学習習慣や基礎学力が定着していないと、企業は「入社後に業務で苦労するのではないか」と懸念し、ネガティブなイメージを決定づける材料として捉えられてしまうことがあります。
だからこそ、通信制高校では資格取得を強く推進している学校が多いのです。
資格を取得するために自ら努力し勉強したという実績は、企業に対して努力と意欲を分かりやすくアピールできる強力な材料となるからです。



息子が通った第一学院高等学校のキャンパスでも、資格取得を強くアピールしていました。
年間を通して、いつ、どんな資格が取得できるのか一覧表が用意されていて、合格者を貼りだすなど、精力的に活動していた印象が強かったです。
2. 面接で「なぜ通信制?」を前向きに説明できない場合
面接で必ず聞かれる質問が「なぜ通信制高校を選んだのか?」です。
企業は、採用した人材に長く、一生懸命働いてもらうことを期待しており、会社側にメリットがある人材を求めています。
そのため、通信制高校という選択が消極的な理由ではなかったか、すぐに辞めてしまわないか、という点は採用の可否を左右する重要なチェックポイントになります。
ここで答えに詰まったり、ネガティブな理由のまま伝えたりすると、「消極的な選択だったのでは?」と企業に不安を感じさせてしまうことになりかねません。
不利になるパターン
- 「学校に行けなかったから…」と、過去のネガティブな理由だけで答えを終わらせる。
- 過去の辛い経験をそのまま話しすぎてしまい、入社後の意欲が伝わらない。
〇前向きな言い換え方
- 選んだ理由を目標とつなげる: 例:「私はITに興味があり、オンライン学習を活用して専門スキルを磨く時間を確保したかったからです」
- 行動したことを強調: 例:「自分のペースで学べる環境を選び、その時間を使って○○という資格取得に集中しました」
3. 社会経験やアルバイト歴が乏しい場合
通信制高校は時間に余裕がある分、その3年間でアルバイトやボランティアなどの社会経験がないと、かえって不利になる可能性があります。
しかし、これは通信制高校の最大のチャンスでもあります。
多くの通信制高校では、ボランティアや地域活動などの社会経験を積む機会を積極的に提供しています。
これらの活動やアルバイトに在学中から取り組むことは、「社会性」や「コミュニケーション能力」を身につけられるだけでなく、履歴書に書ける実績となり、企業にとって大きな安心材料となります。
親からすると、「アルバイトはまだ早い?」と思うかもしれませんが、週1回・短時間から始めるだけでも、子どもは社会に出て成功したという大きな自信につながります。



息子は、高校1年生の夏休みからアルバイトを始めました。
初めは「不登校だったのに、アルバイトなんてできるのか…」と心配だったのですが、そんな考えは不要でした。
働くことの責任感、お金を稼ぐことの苦労、そして色々な人と関わることで世界観が広がっていました。
【面接で勝つ】通信制高校の「不利」を「強み」に変える3つの戦略


通信制高校の卒業生が就職を成功させるには、在学中から「就職活動でアピールできる実績」を意識して積み重ねることが重要です。
ここからは、具体的に何をすべきかをご紹介します。
1. 「自己管理能力」と「主体性」を具体的なエピソードで語る
通信制高校での学習経験を、抽象的な言葉ではなく、「どのように課題を解決したか」という具体的なエピソードにすることで、採用担当者に強い印象を与えられます。
採用担当者は、履歴書に書かれた「通信制」という情報から、生徒が「どのように時間を過ごしていたか」を想像します。この空白を埋めるために、自己管理能力を証明する具体的なエピソードが不可欠です。
- レポート提出のエピソード
- 例: 「レポートが溜まったとき、まずやることを細分化して、苦手な数学を週に3回に決めて集中的に取り組み、締め切りに間に合わせた」という具体的な解決プロセスを語る。
- 自由時間をどう使ったか
- 例: 「登校日以外は、毎日午前9時から12時までを学習時間と決め、その後は興味のあるプログラミングの学習に充てた」と、自ら規律を設けた主体性をアピールする。
- 自己PRへの昇華
- 戦略: 「私は通信制高校で、自主的に目標設定し、最後までやり遂げる力を身につけました」という結論で締めくくり、企業でその力をどう活かすかを提案する。
2. 在学中に「ボランティア」や「アルバイト」の経験を積む
在学中にアルバイトやボランティアなどの社会経験を積むことは、「空白期間」を払拭して、社会性や基礎的なマナーを身につけていることを証明できる最良の方法です。
企業が最も懸念するのは、「通信制高校での3年間、社会との接点が全くなく、社会常識が身についていないのではないか」という点です。
短期間でも「働く」経験を持つことは、この懸念を払拭する強力な材料となります。
まずは、学校が提供してくれるボランティアや地域活動に参加するのが手っ取り早い方法です。
- 先生や先輩のフォローもあるので初めてでもチャレンジしやすく、履歴書では協調性や貢献意欲をアピールすることができます。
- アルバイトは無理のない範囲で、週に1~2回の短期間からスタートすると始めやすいです。
履歴書には、単に「アルバイトをした」「ボランティア活動をした」と書くだけではなく、「○○業務で、正確性と笑顔での対応を心掛けた」など、仕事を通して得た具体的なスキルや姿勢を記録すると、伝わりやすくなります。
3. 卒業までに「資格」を取得し、意欲と専門性を証明する
資格は、通信制高校の自由な時間を有効活用した証明であり、特定の分野への高い意欲と専門的な基礎知識があることを客観的に示す、最強の武器になります。
資格は学歴とは異なり、「努力して目標を達成した実績」そのものです。
特に、ITや経理など実務に直結する資格は、採用担当者に対して「入社後、すぐにでも貢献したい」という意欲を明確に伝えることができます。
- 事務・経理系:
- 資格例: 日商簿記検定3級(基本的な経理知識があることの証明)
- IT・情報処理系:
- 資格例: ITパスポート(情報処理の基礎知識があり、PCスキルへの意欲があることの証明)
- 社会性・マナー系:
- 資格例: 秘書検定やサービス接遇検定(社会人としての基礎的なマナーや言葉遣いへの意識の高さの証明)
- 資格取得の進め方:
- 戦略: 通信制高校の学習と並行して、難易度が比較的易しいものから挑戦し、成功体験を積み重ねて自信をつける。
就職成功の鍵は「学校選び」と「サポートの徹底活用」
通信制高校の就職サポートは、全日制高校以上に手厚い場合があります。
成功の鍵は、サポート体制が整った学校を選ぶことと、そのサポートを卒業まで徹底的に活用することです。
1. 就職実績を確認する
卒業生の進路が「就職」に強い学校を選ぶことで、履歴書の添削や面接指導だけでなく、企業との具体的なパイプを利用できる可能性が高まります。
就職に特化したサポートを行う私立の通信制高校は、地元企業や提携企業との繋がりを持ち、企業見学の機会を提供していたりする場合があります。
- 実績の公開状況
- 確認事項: 学校のウェブサイトや資料に、過去の卒業生の具体的な就職先(企業名や業種)が掲載されているかを確認する。
- サポート体制の具体性
- 確認事項: 「キャリア教育」があるだけでなく、「専任のキャリアカウンセラー」が常駐しているか、「企業見学やインターンシップ」の機会があるか。
- 推薦制度の有無
- 確認事項: 学校推薦枠や、提携企業への優先的な紹介制度など、就職に直結するサポートがあるかを個別相談で尋ねる。
「大学進学」だけでなく、「就職」に特化したコースやキャンパスがあるかどうかも判断基準になります。



息子のときは、社会人基礎力専攻コースがありました。
これは就職する生徒に向けたコースで、主にパソコンを学んでいたようです。


2. キャリアサポート・進路指導を「卒業まで」活用する
多くの通信制高校のサポート体制は非常に手厚いため、このサポートを積極的に活用することが、就職成功への最短ルートです。
通信制高校の進路指導は、全日制のような大人数向けの一斉指導ではなく、生徒一人ひとりのペースや特性に合わせた個別指導が受けられるメリットもあります。
- 通信制の経験を強みとして見せる、履歴書の書き方をアドバイスしてもうら
- 通信制高校に関する質問を想定した、面接の対応方法をサポートしてもらう
- 就活での不安を、先生やカウンセラーに相談して、精神的な支えとして利用する
面接の不安、履歴書の対策など、きめ細やかな指導が受けられるので、フル活用しましょう。
まとめ:通信制高校からの就職を強みに変えていこう


通信制高校からの就職は、決して「難しい」ことではありません。
「通信制だから不利だ」と悲観する必要は全くなく、むしろ不登校という困難を乗り越えて卒業した経験を、「自律性」という強力な強みとしてアピールするチャンスです。
親は、子どもを焦らせるのではなく、「アルバイトや資格取得」といった社会経験を積むための環境整備と、学校のサポート体制の徹底的な活用を促すことに集中していきましょう。
子どもの個性と努力を信じ、前向きな戦略をもって取り組めば、必ず自分に合った就職先を見つけることができます。
就職実績が豊富で、履歴書添削や模擬面接など、きめ細やかなキャリアサポートが充実している通信制高校の情報を比較検討しましょう。
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